アート・建築・デザイン

【バンクシー作品紹介】バンクシー展(名古屋会場)へ行った感想

バンクシー展までの行き方

『バンクシー展』は金山駅で開催されています。

金山駅は名古屋駅から、
東海道本線で5分揺られたところにあります。


※名古屋会場での展示は、
2021年6月20までとなります。

改札を出たら、左の方に歩いていきます。
アスナル金山がある方向の反対側です。

この道を歩き外に出ます。
出たら右側に「旧ボストン美術館」が見えます。
この建物の2階で、
『バンクシー展』は開催されています。

▲旧ボストン美術館

現在、コロナウイルスまん延防止対策として、
オンラインでのチケット購入が
推奨されています。

スムーズに入館したい人は
チケットを事前に購入してから
入場することをお勧めします。

チケットはこちらから購入できます。
チケットの空きは十分にあるため、
直前にチケットを購入しても問題なく
入場できると思います。

【事前準備】バンクシー展に行く前に

「バンクシーってそもそも誰?」
と思っている人は、
こちらをご確認いただければ
バンクシーについて理解できます!

【バンクシーについてのまとめ】『時空旅人』 別冊 BANKSY 覆面アーティストの謎 著者:三栄  『時空旅人』 バンクシーとは? バンクシーの正体は明らかになっていません。正体は、ロビン・ガニンガム?、3D?では...

こちらはバンクシー展の公式動画です。
短い動画ですが、会場の雰囲気がわかります。

バンクシーの作品たち

バンクシーのグラフィティ作品の
大半は壁面に書かれるため、
すぐに塗りつぶされてしまい、
現存しているものは多くありません。

そんななか本展では、
複数の個人コレクターの協力のもと、
オリジナル作品や版画、
立体オブジェクトなど70点以上を、
過去最大級の規模で日本に集結させる
ことを実現しました。
作品をじっくりと間近で堪能してください。

バンクシー展公式サイトより

電話ボックス

入り口の前に展示されていた、
電話ボックスです。
おそらく、オリジナル作品になります。
電話ボックスの中にいる人物はバンクシーです。

会場入り口のネズミ

バンクシーを象徴するネズミが
お出迎えしてくれます。

アーティスト・スタジオ

バンクシーの素顔、詳しい経歴は
誰にも知られていません。

そこで、バンクシーの写真や映像から
彼のスタジオを再現したのが、
『アーティスト・スタジオ』です。

制作イメージ映像、
ステンシルの型やスプレー缶などから、
バンクシーのイメージを浮かび上がらせます。

この作品は、”インスタレーション”を
用いて作成されています。
”インスタレーション”とは、
彼が制作した作品だけを
アートとみなすのではなく、
アートによって成り立つ空間も作品
としてとらえる考え方です。

『妻が嫌がる』

バンクシーは「ネズミの絵」がバスルームで
やりたい放題やっている写真を、
自身のInstagramに投稿しました。
その作品が『妻が嫌がる』です。

ネズミが歯磨き粉を噴出させたり、
便器におしっこを飛ばしたり、
鏡を傾かせてみたり、
思うままに行動するネズミが描かれています。

ネズミは外出規制で溜まったストレスを
思い思いが発散するように、
バスルームの中で暴れまわっています。

タオルの上にいるネズミは、
赤い口紅でロックダウンの日数を
指折り数えて待っています。
何ともしおらしいネズミでしょうか。

バンクシーが出没した地域

この写真を見ることで、
バンクシーがどの地域で出没したのかを
知ることができます。

この写真から見てもわかるとおり、
バンクシーは世界中で、
グラフィティー活動をしています。

『ワット・ドゥ・ユー・ゲット・ザ・マン・フー・ハズ・エブリシング』

イギリスのコメディアン、
サイモン・マナリーの言葉を
バンクシーが引用しました。

そこには「全て持つ男には何を与える?
『それで』と刻んだ墓石なんてどう?」
と書かれています。

”現世でどんな素晴らしいものを手にしても、
墓場には何ひとつもっていくことができない”

ということを皮肉たっぷりに表した文章です。

『パンツ ベリー・リトル・ヘルプス⦅ほとんど何の役にも立たない⦆』

イギリスの大手スーパーマーケット
「TESCO」のスローガンは、
『エブリ・リトル・ヘルプス
(ささいなことでも役に立つ)』です。

このスローガンを皮肉ったのが、
『ベリー・リトル・ヘルプス』です。

この写真のポールは
「TESCO」の青いビニール袋が、
イギリスの国旗のパンツに
書き換えられています。

これには面白いエピソードがあります。
ある企業が、
「バンクシーの下着をオークションで売り、
その売り上げを慈善団体に寄付したいので、
バンクシーのパンツを提供してほしい」
とバンクシーに申し出ました。

そこで、バンクシーはパンツではなく、
このアートワークを代わりに送りました。

バンクシーが普段履いているパンツを
オークションで売りたいから、
提供してほしいと頼み、
バンクシーが「わかりました!」
と引き受けてくれると思っている
企業の倫理観に仰天しました。

『ブレグジット』

イギリスのEU離脱”を
モチーフにして作られています。

EUの旗にある12の星の1つを
作業服姿の男性が、
のみと木槌で削り取っています。

この壁画は英仏海峡に面した
イギリス・ケント州の
港町ドーバーに出現しました。

この日はエマニュエル・マクロン氏が
フランス大統領選に勝利した日で、
EU離脱の手続きをどう処理するかを
決めるイギリス総選挙も、
数週間後の6月8日に控えていました。

『ブレグジット』は、
建物のオーナーによって破壊され
現在は残っていませんが、
もし残っていたらイギリスのEU離脱問題を
考えさせられる重要な作品に
なっていたことでしょう。

『トキシック・メアリー』

バンクシーの、
「宗教をテーマにした数少ない作品」の1つです。

毒のミルクを赤ん坊に与える聖母の姿は、
宗教が信者に真の安全をもたらしてくれるのか
というメッセージを投げかけています。

宗教がもたらした戦争による死、
文化的不寛容といった害の甚大さに比べて、
功績はごくわずかなものであるからです。

『スマイリー・コッパー/別名:フライングコッパ―』

優しい微笑みを浮かべた制服姿の警官。
背中に天使の羽をつけ、
手にはマシンガンを抱えています。

この不気味な微笑みは、
破壊活動を暗示しており、
嬉々として任務にあたることを窺わせています。

現代社会において民間人を標的とした
警察の暴行はもはや珍しくなく、
より組織的なものへと変化してきています。

バンクシーはこう警告します。
誰も信じてはならない。
権力と権威を振りかざすやつらは疑ってかかれ。
いつ攻撃のための銃が
使われるか分からないのだから。

『監視カメラ』

イギリスで1人の人間が監視カメラに映る数は、
1日平均して300回です。

監視カメラの台数は2007年時点で、
420万台あり、これは世界に設置されている
監視カメラの数の約20%にあたります。

「法執行機関による犯罪検出を支援するために
監視カメラが設置されている」とのことですが、
監視カメラで解決した犯罪は、
わずか3%しかありません。

『ワン・ネイション・アンダー・CCTV・フォトグラフ』

赤いジャケットを着た少年が
梯子の上に立って壁に
メッセージを書いています。

「CCTV(監視カメラ)の下で、
国民よ一つになれ」

そして地上からは、
少年は番犬を連れた警察官に撮影されています。

バンクシーは、
「私たちが進歩の道をたどればたどるほど
プライバシーの権利が失われ、
カメラの監視下に生活を送ることになる」
という事実に注意を促しています。

『抗議』

グラフィティー、それに続くストリートアートは
抗議という形で姿を現しました。

著書『Banging Your Head Against a Brick Wall』
でバンクシーはこう書いています。

「グラフィティーは
もしあなたが何も持っていなくても、
使うことのできるわずかな道具の1つだ。
そして、世界の貧困を救う絵は
思いつかなくても、
立ちションをしている奴を
微笑ませることならできる。」

『ラブ・イズ・イン・ジ・エアー⦅愛は空中に⦆』

『ラブ・イズ・イン・ジ・エアー』は、
バンクシーの作品のなかでも、
最も有名なものの1つです。

この作品で彼は、
街頭での抗議に参加する人を描いています。

男は手に火炎瓶のようなものを持っていますが、
よく見ると、彼が手にしているのは
花束だということがわかります。

このことは、
どんな変革も平和的な手段で
達成されなくてはならない。
さもなくば、もっと大きな暴力を

引き起こすことになる
ということを意味します。

彼はまた、
「資本主義体制や軍国主義体制に対する抗議は
暴動の最中に花を投げ込むのと
同じくらい役に立つ、」
と言いたかったのかもしれません。

『ラフ・ナウ』

もの憂げなサルが描かれています。
サルは「今は笑うがいいさ。
いつかは俺たちがやってやる」という
標語つきの広告をぶら下げています。

この作品は、
社会的地位の低い若者の気持ち”を
表現しているとされています

サルはネズミとともに、
彼のお気に入りのキャラクターです。

『ノー・スイミング』

この作品は、2006年にハイドパーク近くの
湖の水泳場に3週間半設置されていました。

看板には「注意。水泳禁止。
水辺に近づくな。」と書かれています。

ロンドンの中心部で、
”ワニに食べられる危険がある”と
泳ぐ人たちを脅かしています。

バンクシーは作品のなかで、
世界共通語である道路標識や看板を
取り上げることはよくあります。

『ナパーム弾』

少女がミッキーマウスと
ロナルド・マクドナルドに、
手を引かれ歩いています。
少女の顔には狂わんばかりの恐怖が
居座っています。

ミッキーマウスとマクドナルドは
少女を救おうとしているのだろうか?
それとも逆に、少女を恐ろしい結末へと
導こうとしているのだろうか?
アメリカ文化の顔には微笑が漂っています。

”ベトナムの共産化を阻止する”という名目で
300万人の命を奪ったベトナム戦争。
子どもたちを含む村人たちが投下された
ナパーム弾の犠牲者になりました。

「この世で最大の犯罪をおかしているのは、
ルールを破る人たちではなく、
ルールを守っているやつらだ。
爆弾を落とし村を虐殺する命令に
従う奴らなんだ。」
バンクシーはこう考えます。

『グラップリング・フック』

キリストの磔刑たっけいが海戦の移乗攻撃用の
フックに付けられています。
グラッピング・フック』を購入するためには、
4万ポンドをかけてくじ引きを
しなければなりません。

くじ引きの当選者は、
次の手紙を受け取ります。――
「ご愁傷様。
貴殿の名が帽子から選び出されましたので、
バンクシーの限定版《グラッピング・フック》を
1点お買い上げいただけます。
詳細は以下の通りです。

バンクシー「グラッピング・フック」。
ウッドステインとシェラックで
仕上げた木製十字架、
着彩アルミニウム製のフック及びボルト、
着彩ポリウレタン製のイエス、
合成麻製ロープ、スチール製支柱及びピン、
指示書、ステンレス鋼製ねじ。

作家により署名と番号が付されています。
2017年制作。高さ60cm、幅42cm、
奥行き24cm。ロープ付き。

40,000ポンド+付加価値税(適用される場合)。

「グラッピング・フック」は、
2018年1月15日週に出荷される予定です。

次の点にご注意下さい。
――これらの作品に関するペストコントロールの
証明書の発行申請は
2019年1月から受け付けますが、
当初の所有者のみが発行を受けられます。」

最も曖昧で、それゆえに好奇心を
そそられる要素は「指示書」です。

この作品の全体的な意味について言えば、
おそらく良き意図をもった政治家が、
戦争の勃発と
他国の領土の侵略に及ぶ時代における、
近代的な十字軍を象徴しているということです。

世界一眺めの悪いホテル

世界一眺めの悪いホテルは、
イスラエルが建設した分離壁の
真正面にあるホテルです。

バンクシーがパレスチナの
ベツレヘムにオープンしました。

ウォールドオフホテルがある道路沿いには、
イスラエルが建設した分離壁が
ずらり並んでいます。

寝室から見える景色が分離壁なので
「世界一眺めの悪いホテル」と呼ばれています。

ディズマランド

ディズマランドは、バンクシーによって
ブリストルベイの海沿いの街である
ウェストン・スーパー・メアに、
2015年の8月から9月までの
期間限定で開園されました。


場内には荒廃したシンデレラ城や
デジタル障害を受けて歪んだ
リトルマーメイドの彫刻、
パパラッチに追われてカボチャの馬車で
横転事故を起こしたシンデレラなど、
直接的なディズニーランドへの
アイロニー(皮肉)を見てとることができます。

▲パパラッチに追われてカボチャの馬車で横転事故を起こしたシンデレラ

パパラッチに追われてカボチャの馬車で
横転事故を起こしたシンデレラは、
ダイアナ妃の事故死を連想させます。

『チューズ・ユア・ウェポン・ライト』

バンクシーが販売目的で作成した
最新の版画です。全部で19色あります。

この絵の収益は全て、
ロシアのアート集団ヴォイナの
支援にあてられました。

チューズ・ユア・ウェポン
(武器を選択せよ)」とは、
ストリート・アートは民衆の正義のための
手段であるということを意味しています。

描かれているのは、不良っぽい服装の男。
体型の分からないだぶだぶの服を着て、
フードを被り、
顔にはバンダナを巻いています。
何者なのか、見分けることは難しいです。
男は正体を隠しているからです。

対照的に、男が連れている犬は
マンガっぽくユーモラスに描かれており、
一目見て、ストリート・アーティストの
キース・ヘリングのキャラクターであると
わかります。この絵は、
バンクシーのヘリングに対するオマージュです。

アイ・ラブ・ロンドン・ラット・フォトグラフ

2004年、バービカンエリアに現れたネズミは、
前足に、「ロンドンは働かない」と書かれた
看板を持っていました。

しばらくして、バンクシーと
有名なグラフィティライターの
キング・ロボとの対決が激化していた頃に、
キング・ロボのチームが絵を描き替えました。

ライター達には、
他人の作品を自分のアートに使ってはいけない
という明確なルールがあるのですが、
バンクシーはロボの作品を利用して
新しい作品を描いてしまいました。

そのときから、
バンクシーはロボの間で争いが始まりました。

今、ネズミの看板には、
「ロンドンが大好きだ。ロボ」と
書かれています。

『イフ・グラフィディ・チェンジド・エニシング』

アナーキストであり、
女性の権利のための活動家である
エマ・ゴールドマンへ
賞賛の意を込めた作品です。


「もし選挙で世の中が変えられるんだったら、
選挙を禁止しているはずだ」というスローガンの
選挙という箇所を
グラフィティに置き換えた作品です。

『ウェル・ハング・ラバー』


この作品は性的医療機関の壁に描かれています。
裸の男が窓にぶら下がっており、
女性の夫と思われる男が、
妻の不倫相手を探しています。

この作品は書かれた場所と
密接な関係があるため、
壁から切り離して提示すると
意味をなさなくなります。

アンケートの結果、
『ウェル・ハング・ラバー』は、
イギリスで初めてストリート・アートとして
合法になりました。

『ガール・ウィズ・バルーン』

今日にいたるまで、
ハート形の風船を手放そうとしている
この少女の絵は、バンクシーの作品のなかで
最も分かりやすいものの
ひとつとされてきました。

この作品は、オークションで約104万ポンド
(約1億5000万円)で落札された直後、
バンクシーによって額縁に
取り付けられたシュレッダーで、
下半分が裁断され大きな話題になりました。

『ガール・ウィズ・バルーン』の購入者は
落札時の値段で購入を決めたそうです。

その後この作品は、
『 ラブ・イズ・イン・ザ・ビン』へと
タイトルが改められました

バンクシー展 感想

結論。バンクシー展に行ってよかったです。

今の時代、わざわざバンクシー展に
行かなくとも、ネットでバンクシーの
大半の作品を見ることができます。

ですが、バンクシー展で
実物のグラフィティーや展示物を
見ることでしか感じられない
作品から漂う空気感”があるのだと
思い知らされました。

展示会には、今回紹介できなかった
作品も数多く見ることができるので、
まだ訪れていない人は是非行ってみてください!