アート・建築・デザイン

【バンクシーについてのまとめ】『時空旅人』 別冊 BANKSY 覆面アーティストの謎 著者:三栄 

『時空旅人』 バンクシーとは?

バンクシーの正体は明らかになっていません。
正体は、ロビン・ガニンガム?、3D?ではないか
と憶測が飛び交っています。

バンクシーはイギリスの
ブリストルで生まれました。
なので、ブリストルで活躍している
「ロビン・ガニンガム」が
バンクシーではないか?
という説が有力です。

▲Robin Gunningham(出典:Bristol post)

バンクシーは、現実世界を突きつける遊園地
「ディズマランド」を企画する。
大英博物館に忍び込んで≪Wall Art≫を展示する。
といった大掛かりなことをやっているので、
チームで活動していると考えられます。

どこかから情報が洩れて、
バンクシーの正体が明らかになる日も
遠くないかもしれません。

『時空旅人』 バンクシーの活動は合法なの?

バンクシーの活動は非合法です。
仮に壁に絵を描いているところが見つかれば、
犯罪者として処罰されます。

無許可なグラフィティ行為は
日本では器物損壊罪や
建造物等損壊罪に当たります。

【刑法261条 器物損壊等】

(略:公用文書や私有文書、建造物等)のほか、他人の物を損壊し、
又は傷害した者は、三年以下の懲役又は
三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

【刑法第260条(建造物等損壊)】

他人の建造物又は艦船を損壊した者は、
五年以下の懲役に処する

バンクシーが処罰されない理由には、
彼の絵に”価値がある”と人々が
認識しているからです。

シュレッダー事件で有名になった
≪Love is in the Bin≫には
1億5000万円の値がつけられました。

イギリスの警察は、
バンクシーの絵は金になるので
黙認しているのです。

ステンシル技法

▲子供がステンシル技法を使い、グラフィティ―を制作する様子(出典:モネスク通信)

ステンシル技法とは、
「型紙の上からスプレーを吹き付けて
絵や文字を生み出す」という方法です。

この手法を使えば、子供でも簡単に
グラフィティ―を制作することができるんです!

バンクシーはグラフィティ―を
制作していた当初、「フリーハンド」と呼ばれる
方法をとっていました。

しかし彼が18歳のとき警察に捕まりそうになってから
ある選択を迫られました。

  1. 描く時間を半分にするか
  2. 全部あきらめるか

悩んだ末、彼は「ステンシル技法」を
使うことにしました。

ステンシル技法を使えば、
一瞬でコピーするように
壁にスプレーを吹きかけて
逃走することができるからです。

フリーハンドのライターたちは
ステンシル技法を「腰抜け」と揶揄しています。

『時空旅人』 バンクシーを支持する人

バンクシーが世界的ストリートアーティスト
として成功するきっかけになったのは、
2006年にアメリカ・ロサンゼルスで
開催された「ベアリー・リーガル」展です。

そこで、ハリウッド俳優ブラッド・ピットと
当時の恋人で女優のアンジェリーナ・ジョリーの
2人は、バンクシーの作品3点を
日本円で約4200万円で購入しました。

そのことを、世界のメディアが報道したことで
バンクシーの名前が有名になりました。

バンクシーのファンは他にも、
ファッションモデルのケイト・モス、
シンガーソングライターの
クリスティーナ・アギレラ、
ファッションデザイナーの
ポール・スミスなどがいます。

『時空旅人』 シュレッダー事件

老舗のオークション会社「サザビース」が
ロンドンで開催したオークションに、
バンクシーの版画作品
≪GIRL WITH BALLOON(風船と少女)≫
が出品されました。

落札金額は日本円で約1億5000万円
しかし、落札が決まった瞬間、
あらかじめ額縁に仕掛けられていた
シュレッダーが作動し、
作品は断裁されました。

オークション終了後、
タイトルは
≪Love Is in the Bin(愛はごみ箱の中に)≫
に改められました。

≪Love Is in the Bin(愛はごみ箱の中に)≫
の落札者はヨーロッパの女性でした。

彼女は、「最初はショックだったが、
美術史に残る作品を所有することになるのだと
いうことに気づいた」とコメントしています。

約1億5000万円を支払って落札した版画が
シュレッダーにかけられたら、
私だったら悲しくて泣きます。
女性も最初は私と同じ気持ちだったと思います。

しかし、シュレッダーをかけられたことで、
作品の市場価値が倍以上に
跳ね上がったと言う専門家もいます。

だからこそ、彼女は作品がシュレッダーを
かけられてもなお、
前向きになることができたのだと思います。

バンクシーは、投機対象として金だけが
積まれていくオークション・ビジネスへの
批判をしたかったので、
作品を断裁したのだと言われています。

『時空旅人』 バンクシー自身でもあるネズミ

バンクシーは、ネズミをモチーフにした
グラフィティを数多く残しています。

彼は「社会の嫌われ者 
危険因子としてのネズミ」を表現し、
そのネズミは自分自身でもあるとしています。

「やつらは許可なしに生存する。
やつらは嫌われ、追い回され、迫害される。

―中略― 

そしてなお、やつらはすべての文明を破壊
させる可能性を秘めている」

2019年1月17日の昼、小池百合子都知事が
ツイートしたバンクシーの作品だと言われている
傘を差したネズミのグラフィティです。

私は以前『えんとつ町のプぺル
本当に汚いものはどっち?』の見出しで、
ドブネズミについて書かせていただきました。
その内容がバンクシー自身でもあるネズミを
考える上で参考になると思ったので、
併せて御覧ください。

えんとつ町のプペル 西野亮廣著  西野亮廣とはどんな人なのか? ◎1980年7月3日に兵庫県川西市で産まれる。◎2001年12月にM-1グランプリ決勝進出。お笑い...

『時空旅人』 現実世界を突きつける遊園地「ディズマランド」

「不愉快な」「陰鬱な」という意味を持つ
”dismal”から名前をとった
「ディズマランド」は、
ウェストン=スーパー=メアというリゾート地で、
2015年8月から5週間限定でオープンしました。

場内にはバンクシーの作品のほか、
荒廃したシンデレラ城やデジタル障害を受けて
歪んだリトルマーメイドの彫刻、
パパラッチに追われてカボチャの馬車で
事故を起こしたシンデレラなど、
直接的なディス二―ランドへの皮肉を
見てとることができます。

▲パパラッチに追われてカボチャの馬車で事故を起こしたシンデレラ

夢の中に現実をぶつけることで
社会問題を浮き彫りにし、
アメリカの大量消費社会に疑問を
投げかけています。

ディズマランドではネズミの耳をつけた
スタッフが不機嫌に接客をして、
「不愉快な場所」を盛り上げているそうです。

『時空旅人』 感想

バンクシーは反権力や反資本主義といった、
政治色の強いグラフィティを残しています。

反権力とは、民衆が国家などの
政治権力に反対することです。

バンクシーは嫌いな資本主義とは
どういったものなのかを分析してみました。

例えば、ここに100円チョコレートが
あるとします。チョコレートを食べれば
幸せになれます。

人々がチョコレートを食べたい
とする欲求。これは正常なものです。
チョコレートは甘くて美味しいですし、
お腹も膨れます。

ですが、これがチョコレートではなく、
服、あるいは絵ならどうでしょうか。

どれだけ買っても自分のお腹が
満たされることはありません。
それなのに人々はこぞって流行りの高い服を、
皆が良いとする絵を、
大金を払って購入しています。

私は「人々の幸福とはあまり関係のないものに
大量のお金が積まれていく
オークション会場を批判するために
シュレッダー事件を起こしたのではないか」
と思っています。

次回は「バンクシー展 天才か反逆者か」
に訪れた様子を皆さんにお伝えします。

Casie