文学・評論

【要約】ぼくは勉強ができない  山田詠美

中学生のときは、
高校生が大人に見えました。

高校生のときは、
大学生が大人に見えました。

大学生になって気づいたことは、
大学生はそんなに大人ではなかった
ということです。
今日紹介するのは、
年上の女性に憧れる秀美が
主人公の、高校生らしい物語です。


ぼくは勉強ができない 主な登場人物

時田秀美(ときたひでみ)
主人公。勉強はできないが、
顔がカッコいいためモテる。
桃子と付き合っている。屁理屈が多い。

時田仁子(ときたじんこ)
秀美の母。出版社で作家担当。自由な性格で
ルールに縛られることが嫌い。

時田降一郎(ときたこういちろう)
散歩途中に自分よりも若い
おばあちゃんをナンパしている。

桃子(ももこ)
バーで働いている。秀美の年上の彼女

黒川礼子(くろかわれいこ)
秀美と同級の女生徒。貧血持ちサバサバ女子。

真理(まり)
隣のクラスの秀美の幼馴染。
自分磨きに余念がない。

ぼくは勉強ができない 簡単なあらすじ 

高校生の時田秀美は勉強ができません。
バーで働く年上の桃子さんと恋をしている
彼の眼には、学校の勉強よりも女性と恋をする方が
大切だと映っています。
教師、友人の中には、そんな秀美を良く
思わない人もいます。
そういう人達にどこか窮屈なものを感じます。
友人の死、桃子さんとの関係、大学の進路決めを
経験し、少しずつ大人になっていきます。

ぼくは勉強ができない あらすじ 起 

秀美は3票差で、脇山茂に負けてしまい、
脇山がクラス委員になりました。

脇山がクラス委員になった理由は、
脇山が、勉強ができるからです。

脇山は勉強ができないのに
自分よりも目立っている秀美が面白くありません。

秀美は勉強ができることよりも、
女性にモテることの方が大切だと思っています。

中間テストの後で脇山が秀美に高得点を
これ見よがしに示しに来ました。
秀美は勉強ができても、
女にモテない脇山をからかいます。
秀美は脇山を嫌な奴だと感じ、
幼馴染の真理に頼み事をします。

その内容は、脇山に気のある素振りをみせ、
期末試験の直前に振ることです。

脇山はかなりのショックを受け、
期末試験の成績が1位から11位にまで下がります。

秀美は片親だから、母親が自由奔放な生活を
送っているから、家が貧しいから成績が悪いと
決めつけてくる人間が嫌いでした。

秀美はサッカー部に所属しています。
チームメイト植草は、哲学的な悩みを
もっている自分に酔っている変わったやつです。

秀美は練習で手首を痛め、
保健室で昔植草と付き合っていた
黒川礼子に出会います。

貧血持ちの彼女が貧血で
具合を悪くしているのにも関わらず、
それに気づかず植村が哲学の話をしたことで、
腹が立ち別れたのでした。

ある日、サッカーの練習中に、
植草がくるぶしの骨を折りました。
痛みにうめき声をあげています。

いつも孤独を感じるとうそぶいている植草ですが、
痛みの前ではどんな哲学も無力だと思うのでした。

ぼくは勉強ができない あらすじ 承

秀美と同じクラスの後藤が、政治家になると
言い出しました。

近所の米軍基地の飛行機の騒音に悩まされており、
政治家になり基地を撤廃しようと
安易に考えたのです。

その日、急に不安になり連絡もせずに、
恋人の桃子さんの家に行きました。
何度ノックをしても返事はなく、
終電がないので夜中に歩いて帰りました。

翌朝、町内のゴミ捨て場が滅茶苦茶だったため、
後藤は政治家になることを辞め、学者になり
エコロジーの研究をすることを考えました。

友達にラーメン屋で割りばしを
使うと環境に悪いから、
一緒に行けないと仲間外れにされる後藤でした。

秀美は桃子さんに昨日の夜になぜ、
返事をしてくれなかったのかを
確かめるために、問いただしました。

桃子さんはあっけらかんと
昔の恋人と部屋で会っていたことを
秀美に告げます。

ショックを受けた秀美は、
夜の公園に行き礼子から借りた恋の詩集を
ぱらぱらとめくります。

感傷に浸っているうちに、
あの晩ドアを叩き続けた自分の嫉妬の音が
桃子さんにとって雑音であったことに
気づくのでした。

桃子さんに会えない気持ちを紛らわせるために、
サッカーに熱中し始める秀美でしたが、
練習中に軽い脳震盪を起こし
保健室に寝かされます。

桃子さんのことが気になり、
保健室から急いで、
桃子さんのいるバーへと向かいます。

桃子さんから、アパートの鍵を渡され
部屋で待つように言われる秀美でした。

布団にくるまりながら、
どんなに自分が情けない男になっていたかを、
一晩じゅう話して聞かせることを
決心する秀美でした。

ぼくは勉強ができない あらすじ 転

秀美は財布に入れていた避妊具を佐藤先生の前で
落としてしまい、放課後、
職員室に呼びだされます。

セックスをすると成績が下がると
考えている佐藤に、
秀美はセックスをしても成績が下がる
証拠はないと反論する。

佐藤は秀美が母子家庭であり、
女で一つでここまで秀美を育てられて
きたことを感謝し、心を入れ替えるべきだと
諭したため、秀美は佐藤に掴みかかる。

秀美を連れ去る機会を伺っていた桜井先生が
間に入り、事なきを得る。

桜井と桃子さんの店に寄る途中に、
秀美は、避妊具を教室の机の上に
置き忘れて来たことに気づく。

翌朝、秀美は風邪を引き、学校を休む。
その日、同じクラスの田嶋が訪ねきて、
片山が自殺したことを報告しに来る。

泣き叫ぶような関係ではないが、
秀美・田嶋・片山の3人で軽い冗談を言い合う
関係にはあった。

田嶋は、片山が自殺したと聞いたとき、
時差ぼけの話を思い出した。
人間は本来25時間を1日の周期として
生きている動物であり、
片山は生まれたときから、
毎日1時間の時差が出ていると語っていた。

片山は、時差ぼけの辛さで自殺をしたのだと
秀美は思った。

翌朝、秀美は熱が下がらず、片山の葬式に出る
ことができなかった。

丸2日眠り続けて、風邪が治り学校に登校する。
片山は考えることを考えると言っていたことを
思い出す。片山が死んだことについて考える内に、
秀美は涙を流す。

ぼくは勉強ができない あらすじ 結

秀美はクラスの川久保から
山野舞子のことが好きだと告げられる。
川久保が告白する直前に緊張で腹痛になり、
自分が好きという気持ちを、秀美が舞子に伝えることを頼まれ、
秀美はその役割を引き受ける。

秀美は舞子を呼び止めるが、
舞子から秀美のことが好きだと逆に告白される。

秀美は、舞子の美しいさを認めた上で、
美しく見せる演技をしている姿が
好きになれないことを伝える。

舞子は、秀美も自然体という演技をしていると
言い返す。川久保に上手くいかなかった旨を伝え、
舞子の言う通り、演技をしているのは自分の方では
ないかと考えた秀美であった。

秀美は大学に進学するか、
就職するかを決められずにいた。
そんなある日、授業中に、祖父が倒れたとの
連絡が入り、急いで病院に駆けつける。

病院に来た真理は、片目に包帯をしており、
水商売をするために整形手術をしていた。
彼女から、大学生になった秀美から勉強を教えて
ほしいと告げられる。

大学進学を桜井先生に伝えます。
今さら、勉強ができるようになりたいとは言えない
秀美でした。

まとめ

秀美の勉強ができるよりも、
女性にモテることの方がはるかに大切という
気持ちに共感することができます。

本書の教師、友人の中には、
良い大学に入るために、
勉強が必要。だから勉強が出来ることが
恋愛に現を抜かすよりも
大切だと考えている人がいました。

勉強ができるに越したことはないとは思いますし、
私自身も2年浪人をして大学に入っているので、
勉強ができることは大切だと思っています。

ですが、女性にモテる人生の方が楽しいことは、
すご~くよくわかります。
私の母は、「勉強が出来ても遊びを
知らない男はつまらない」
と言っていました。

つまらない男にはなりたくないので、
勉強が出来、遊びも知っている男に
なりたいものです。

したっけね~☆彡