文学・評論

【ぼくは愛を証明しようと思う】 著者:井雲くす・藤沢数希 要約・感想

【ぼくは愛を証明しようと思う】 あらすじ

溺愛していた恋人・麻衣子に浮気をされ、
26歳の弁理士・渡辺は、
元気をなくしていた。

BARで酒を飲んでいると、
仕事の取引先として
お世話になったことのある永沢が、
美女と数分で良い雰囲気になっている
光景を目にする。

渡辺は「非モテ」を脱出するため、
永沢から”恋愛工学”の存在を教えてもらい、
1つずつ実践していく。

彼は「愛」を見つけることはできるのだろうか?

【ぼくは愛を証明しようと思う】 プロローグ 本文抜粋

恋愛工学。

今では金融や広告など様々な分野が
数理モデルに従って動いている。
かつては文系人間たちの
ガッツで回っていたこうした業界は、
いまや複雑なアルゴリズムを操る
オタクたちが牛耳っている。
だったら、恋愛だって
同じことになりはしないだろうか?
答はイエスだ。恋愛の世界でも、
恐るべきテクノロジーが
密かに開発されていたのだ。

僕は、世界最大の半導体
メーカー・インテルの元CEO、
アンドリュー・グローブの
言葉を思い出した。

”Technology will always win.”
(最後にはいつだって
テクノロジーが勝利する)

【ぼくは愛を証明しようと思う】 第1章 非モテコミット 要約

弁理士の渡辺には麻衣子という彼女がいる。
渡辺は、麻衣子は浮気をしていることを
偶然、麻衣子のLINEメッセージを、
目にしたことで気づく。

浮気をしていることを
渡辺が麻衣子に指摘すると、
麻衣子は逆上し、連絡がとれなくなる。

麻衣子からの連絡が来たのは、
クリスマスの1週間前でした。

渡辺は、クリスマスイブの日に、
以前から麻衣子が欲しがっていた
30万円のバックをプレゼントします。
麻衣子はその場では喜びましたが、
別れてから渡辺のラインを
ブロックしていました。

落ち込みながらBARで酒を飲んでいると、
仕事のクライアントの永沢が、
美女と楽しそうに話しをし、
その上連絡先まで聞き出している
光景を目にします。

後日、渡辺は「美女と仲良くなれる秘訣」を
知りたくて、永沢と居酒屋で
食事をする約束をします。

渡辺は永沢に恋愛工学を教えて
もらえることになり、
彼の恋愛観が変わることになるのでした。

非モテコミット

「非モテコミットというのは、
お前みたいな欲求不満な男が、
ちょっとやさしくしてくれた女を
簡単に好きになり、
もうこの女しかいないと思いつめて、
その女のことばかり考え、
その女に好かれようと
必死にアプローチすることだ」

渡辺は麻衣子のことを溺愛していました。
しかし、それが原因で麻衣子から
逃げられたのです。

永沢が言うには、女性は好意を示すと逃げ、
そっけない態度をすると追いかけたくなる
性格を持っているそうです。

フレンドシップ戦略

「お前みたいなモテない男が、
非モテコミットした女に
アプローチをするときにやる、
唯一の戦略だよ。
まずはセックスしたいなんてことは
おくびにも出さずに、
親切にしたりして共だちになろうとする。
それで友だちとしての
親密度を高めていって、
最後に告白したりして彼女になってもらい、
セックスをしようとする戦略のことだ」

渡辺は、弁理士事務所で
アルバイトをしている美奈に、
無料で資格試験の勉強を教えていました。

渡辺は、美奈から引っ越しの
手伝いをお願いされ、
「引っ越しデートでは!?」と
1人で盛り上がっていました。

明るい気分で美奈のアパートに向かうと、
美奈から恭平という彼氏を紹介されます。

渡辺は、自分が「友たちフォルダ」に
入っていたのに、
「男フォルダ」に入っていると
勘違いしていたのです。

女性は、一旦友だちフォルダ
入った男性を、
男フォルダに移動することは
至難の技である

男の恋愛の方程式

渡辺は試行回数が決定的に少なかったので、
永沢から「1日に50人」の女性に
アタックすることを、
課題として出しました。

1人の女性を一途に愛して
失敗してきた渡辺にとって、
永沢の言葉は説得力がありました。

モテ = ヒットレシオ × 試行回数

【ぼくは愛を証明しようと思う】 第2章 出会いのトライアスロン 要約

渡辺は永沢とトライアスロンに挑戦しました。
「週末の街コン→ストナン→
クラナンのサーキッドで、
1日で50人以上の女にアタックする。
それがトライアスロンです。

その日、渡辺は18人の女性と連絡先を
交換することができました。

永沢の指示で、紙に、「女性の名前」
「出会った場所」「仕事」
「ルックス(下の下~上の上の9段階)」「年齢」
「メモ」の項目を全て書き出します。

渡辺のルックスの項目を、
永沢はペンで修正していきます。
渡辺にとっては、「」のルックスの女性が、
永沢にとっては、「」であったからです。

恋愛工学は『中の上』以上の
女性に対して使うものです。

その後、2人はクラブにナンパをしに行きます。
そこに永沢のセックスフレンドの美人のモデルが
来ていて、永沢はモデルと一緒に
帰ってしまいました。

渡辺は、永沢が帰ってからも
声かけを続けていました。

タイムコンストレイントメソッド

女性に話かけるときに、
「20分しかないんだけど」と言ったり、
「5時から仕事があって、
もう行かないといけないんだけど」
と言ったりして、
これからはじまる会話にこちらから
時間制限をつけます。

こうすることで、女性の
「ずっとしつこくつきまとわれるんじゃないか」
という不安を取り除くことができます。

さらに、こうやって忙しい男を演出すると、
自分が重要人物だったり、人気者なんだと、
相手の女性に錯覚させる効果もあります。

オープナー

「オープナーというのは、
見ず知らずの女に、
はじめて話しかけるときに
使うルーティーンのことだ。
会話をオープンさせるからオープナー」

ストナンでの声かけには、
間接法直接法があります。

関節法…道を聞いたり、
こちらの性的な意図を隠して、
別件で話しかけるもの。

直接法…『かわいいね』のように
最初から男女の仲になる
意図があることを示して声をかけるもの。

「関節法」は人の善意に
つけ込むやり方なので、
道に迷っていない場合に使うと、
相手に嘘をつくことになります。

映画『マディソン郡の橋』では、
主人公のクリント・イーストウッドが、
人妻に道に迷ったふりをしたナンパをし、
実際成功しています。

しかし永沢は、
親切に道を教えてくれた人を

騙すような出会い方は
よくないと否定しています。

【ぼくは愛を証明しようと思う】 第3章 はじめてのデート 要約

目覚めると自宅にいました。
LINEアプリを開くと、
信じられない数の女の子たちの
アイコンが表示されました。

渡辺は、ラインを交換した女性を
デートに誘います。
最初は失敗しました。
しかし、毎回同じデートコースを選び、
前回と同じような会話をしたことで、
自分なりのルーティーンができあがりました。

渡辺は詩織とのデートでは、
よい雰囲気を作り出すことができ、
お持ち帰りに成功しました。

『利己的な遺伝子』

「つまり、女が男に求めているのは、
将来多数の女を獲得して
繁殖に成功するモテる息子になる
いい遺伝子を持った“Good Genes”の男か、
子育てに協力的な”Good Dad”の男なんだ。
~中略~
現代社会で言えば、
“Good Genes”はイケメンのことで、
“Good Dad”の資質に結びついているのは
男の金と地位だろう」

女性は、”Good Genes”の男、
”Good Dad”の男、
どちらか片方を選ばなければ
ならないと思うかもしれないが、
実は両方選ぶことができる。

浮気によってそれが可能となるのだ。
誠実で、決して裏切らない
”Good Dad”を確保して、
こっそり別の男と浮気をし、
“Good Genes”の
遺伝子を取り込むわけです。

”Good Dad”の男に浮気が見つかったら、
女は捨てられてしまう可能性が高い。
そこで女性は、普段から気まぐれな行動をし、
浮気をしたときにも不自然にはないように
振る舞う性質を獲得しました。

モテスパイラル現象

イケメンや金持ちより、
単に他の女にモテている男がモテる、
という恐ろしい事実です。

イケメンでセックスができていない男性よりも、
不細工でセックスができている男性の方が、
モテると言い換えることもできます。

【ぼくは愛を証明しようと思う】 第4章 恋愛プレイヤー 要約

渡辺はまた、ひとりの女・詩織に
非モテコミットしていた。
詩織と別れてから、
住む場所を(ナンパをする上で)地理的に有利な、
六本木に変え、オシャレをし、
スポーツクラブで身体を引き締めた。
渡辺は自分を変える努力をしたのだ。

ノルマを課されたセールスマンのように、
月に2.3人の新規の女性とセックスをしなければ
ならないという強迫観念の
ようなものを感じていた。

しかし、段々渡辺は女性と淀みなく話が
できているはずなのに、
セックスができなくなっていきました。

以前は出会った女性を喜ばせるために
ナンパをすることができていたのに、
女性を自分の欲望を叶えるための商品のように
思いはじめていたからです。

女性に喜んでもらうためだけに
声をかけるしたところ、
スランプを脱出することができました。

セックストライorストップロス戦略

まずは、出会いエンジンでたくさんの女性と
知り合う機会を作っていきます。
出会いが多ければ多いほど
成功の確率が高まるからです。

出会いエンジンには、

  1. 街コン
  2. クラブやバーでのナンパ
  3. カフェやストリート、
    その他のイベントでのナンパ

等があります。

知り合った女性とふたりで会ったら、
とにかくセックスにお誘い、
ダメだったら、ストップロス(損切り)します。

セックスをさせてくれない女性は諦めて、
潔く次の女性に行くことが重要です。

ピボット

セックスができなかった女性でも、
なるべく友だちとしてキープして、
一緒にクラブに遊びに行ったり、
合コンなどを主催する
ネットワーキングに利用できることもあります。

こうした女性を恋愛工学では
ピポッドと呼びます。

【ぼくは愛を証明しようと思う】 第5章 Aをねらえ 要約

渡辺は取引先の女性・長谷川玲子と関係を持つ。
玲子には付き合っている彼氏がいたが、
渡辺はそこまで気にしてはいなかった。

永沢はパーティー会場で、
ファッションモデルの英里香と知り合い、
セックスをし付き合うことになりました。

英里佳のような綺麗な女性と
一緒に歩いていると、
大物プロデューサーかなんかと
勘違いする人もいて、
クラブで女性からナンパを
されるようになりました。

そんな中、
しばらく連絡をしていなかった玲子から
連絡がきました。
渡辺は「最近、仕事が忙しい」と
嘘をつきましたが、
その嘘は渡辺の仕事内容を
ほとんど把握している玲子にはバレていました。

玲子には社内に婚約者がいました。
その婚約者に渡辺との関係がバレ、
婚約者の怒りを鎮めるために、
玲子は渡辺から強引なセクハラを
受けたと嘘をつきました。

渡辺は玲子にセクハラをしたということで、
会社をクビになります。

ACSモデル

ASCモデルの最初がAフェーズです。
Attraction(魅了)のAです

はじめて出会った女性をうまく魅了できたら、
次は、Comfort-Building、
つまりCフェーズです
女性となごんで、
心地よい信頼関係を作り上げます。

ラポール(相互信頼の関係)が形成できたあとの
Cフェーズ後半では、
相手の女性からの脈ありサインを
いくとか確認しながら、
いよいよ情熱的に女性への
好意、愛情、抱きたいという
気持ちを伝えていきます。

そして最後の
Seduction(性的誘惑)フェーズに移っていきます。
相手の女性を自信と情熱で
包み込む必要があります。

A→C→Sの順番が大切で、
キスができても、調子に乗って、
すぐに「ホテル」に行こうなどと言ったりしてはいけません。

Aフェーズは、無関心さを装う、ディスる、
非モテコミットを避ける、
自分の魅力を相手に気づかせます。

Cフェーズでは、女性に、
一緒にいても安全だと
思われる必要があります。
安全というのは、
社会的に信用できる人間で、
危害を加える危険人物では
ないということです。

CからSへのフェーズシフトは
時間が連続していないといけません。
しかし、空間はパブリックな場所から
密室へとジャンプさせます。

自動迎撃システム

美人をナンパするときは、
自慢をしてはいけません。
男が必死で自慢をすればするほど、
女性の立場の方が上になるので、
あなたへの関心が薄くなります。

媚びずに堂々と振る舞ったり、
美女をディスることで、
相対的に自分の価値が上がります。

渡辺は、英里香がモデルをしていることを
知っているのに、
「手のモデルをしてるの?」と聞いたことで、
自分の価値を上げることに成功しました。

金持ちの男性はクルーザーを、
イケメン青年実業家は
自分が所有している軽井沢の別荘を
エサにして、英里香の連絡先を聞こう
として失敗しました。

「お金」があるアピールは、
美女にとっては聞き飽きたものなので、
効果は薄いようです。

【ぼくは愛を証明しようと思う】 第6章 星降る夜に 要約

渡辺は失業したことで、
モデルの英里香と
付き合うことが辛くなり別れます。
英里佳の華美な美しさが、
渡辺には刺々しかったからです。

渡辺は旅に出ます。
バスの中で2重のきれいな
目をしていた直子に会います。
渡辺がまだ非モテだったときに、
人知れず恋心を抱いていたひとりの女性に
とてもよく似ていました。

会話が弾み、
昼間にボートのデートを2人で楽しみました。
渡辺はこのまま別れてしまうことが
辛かったので、直子に自分の家で
夜ごはんを食べた後、
直子の車で渡辺が泊まっている
ホテルまで迎えに来てもらい、
一緒に星を見に行く約束をしました。

渡辺は後悔しました。
恋愛工学では、
女性にもっと長く一緒にいたいとすがることは、
やってはいけないことだったからです。

やっぱり来ないのか……。
そう思ったとき、直子はロビーに現れました。

直子の運転で星空を見に行き、
ふたりは幻想的な天の川に包まれていました。
それから、ホテルに戻って
直子と激しく抱き合いました。

こんなところで、また、
あなたに出会えてうれしかった
この言葉で、渡辺が気が付きます。
直子は渡辺が非モテだったころに、
品川のカフェで片思いしていた店員だったのです。

【ぼくは愛を証明しようと思う】 エピローグ 本文抜粋

「でも、今度の彼女のことは、
昔のように、
かつての非モテだったときの僕のように、
ずっと愛することが出来ると思うんです。
そして、愛されることも。
今回だけは違う気がするんです」

~中略~

「彼女よりも美人はいくらでもいるし、
僕はそうした女たちと何度も寝てきました。
彼女よりもお金持ちの女も
いくらでもいます。
もっと都合のいい女だって。
でも、非モテだったときの
僕にもやさしくしてくれて、
失業して落ち込んでいるときにも
手を差し伸べてくれた女なんですよ。
僕は、そんな彼女と
いっしょに人生を歩んでいきたい」

まとめ

渡辺は、最後に、
恋愛工学を学びせっかく
非モテから脱出できたのに、
また1人の女性を愛し続ける非モテに戻りました。

「1人の女性を愛し続けて」上手くいくのか、
それとも以前のように失敗してしまうのか、
この続きが気になるような終わり方が好きです。

リアルでナンパができないという人は、
インターネットを利用した出会いも
活用してみてはいかがでしょうか?

したっけね~☆彡