文学・評論

【3分で読める!】人間失格 太宰治 要約

『人間失格』は太宰治の遺書とも
言われる作品です。
本書を書き終えた1カ月後に、
彼は愛人と入水自殺をしました。
日本では、
夏目漱石の『こころ』に次いで
売れたとされる『人間失格』を
今日は取り上げたいと思います。

人間失格の主な登場人物

大庭葉蔵(おおばようぞう)
主人公。「道化」を演じる人生を送ってきた。

竹一(たけいち)
中学の友人。身体は弱くて貧弱だが、
ものの本質が見える男で、
葉蔵の「道化」を見抜く。

堀木(ほりき)
東京の画塾で出会った悪友。

ヒラメ(ひらめ)
葉蔵の父の知り合いで、葉蔵の監視役となる。

ヨシ子(よしこ)
タバコ屋の看板娘。人を疑うことをしない性格を
葉蔵は好きになり、結婚する。

人間失格【はしがき要約

主人公ではない『私』の視点から、
大葉葉蔵の3枚の写真の様子を語ります。

1枚目の写真。笑ってはいるものの、
心からの笑顔ではなく、
薄気味が悪い子供がいます。

2枚目の写真。生気のない美少年がいます。

3枚目の写真。2枚目の美少年かどうかがわからない
ぐらいに老け込んだ男性がいました。

人間失格【第1の手記】要約

「恥の多い生涯を送って来ました」という有名な
1文から、葉蔵の手記が始まります。

葉蔵は自分が周囲に気に入られるように、
徹底して「道化」を演じます。

半裸の恰好でインディアンのダンスを踊ったり、
タン壺におしっこをして、周囲を笑わせてみたり、
学校の作文で、自分の失敗談を書くことで、
周囲から笑ってもらえるようにしました。

葉蔵の父が東京に行く際、
子供達に何がお土産として欲しいかを尋ねます。
葉蔵は欲しいモノなどないのですが、
子供らしい子供が、父は好きだと知っているので、
父の枕元に「獅子舞」と書いた紙を
そっと置きます。

東京から帰ってくると、
父は獅子舞を葉蔵にニコニコしながら
プレゼントします。
この笑顔を見て、
作戦成功とほくそ笑んだ葉蔵でした。

葉蔵が他人が望んでいる自分を演じることは
仕方のないとでした。
女中、下男に犯されていたからです。

脳病院の隔離病棟

葉蔵は故郷を出て、青森の中学校に入学します。

中学生になってからも、
「道化」でクラスメイトを笑わせて、得意げに
なっている葉蔵でした。

ある日、体育の授業の鉄棒でわざと
葉蔵が失敗したことを、竹一に見破られ、
葉蔵は焦ります。

自分が「道化」を演じていることを、
竹一が他の人に話さないように、
葉蔵は竹一と親友になろうと画策し、
成功します。

竹一に『女に惚れられる』『偉い画家になる』と
予言をもらいます。この言葉が予言のように
これから先の葉蔵に的中します。

東京の高校にかよいながら、画塾にも通いだす

東京の全寮制の勉強のできる高校に通いながら、
美術の勉強をするために、画塾にも通います。

画塾で6歳年上の悪友、堀木と出会います。
酒、煙草、淫売婦、質屋、左翼思想、
あらゆる悪いことを教えてもらいます。

堀木は真面目な人ではありませんでしたが、
いつもふざけている堀木といると、
自分が進んで「道化」をしなくても良いため
ホッとする葉蔵でした。

父が葉蔵に仕送りをしてくれた金で、
葉蔵は堀木と遊んでいました。
政治家の父が引退をし、青森に隠居をする
ことになってから、仕送りのお金が減ります。

今まで通りに堀木と遊ぶために、葉蔵は質屋通いを
始め、生活は困窮していきます。

しかし、今まで通りに遊べなくなった葉蔵から、
堀木は徐々に距離を置くようになります。

「酒池肉林」の女中、ツネ子と出会う

仕送りが少なくなり、遊ぶ金が減り困る葉蔵は、
銀座のカフェ(現在でいうところのキャバクラ)
の女給・ツネ子に出会う。

ツネ子は、夫とともに上京したのだが、
夫が詐欺罪で刑務所に入っており、
独り身で寂しい暮らしをしている。

そんなツネ子に自分と似たものを感じ、
葉蔵はツネ子と1夜を共にする。

ある日、葉蔵は堀木と、ツネ子のカフェに行く。
堀木は泥酔しており、隣に座った女性とキスを
すると意気込んでいた。

ツネ子が堀木の隣に座り、
葉蔵はツネ子が堀木にキスをされると思い、
焦ったが、堀木はこんな貧乏臭い女とは
キスできないと言い捨て、キスをしなかった。

そのとき葉蔵はツネ子と目が合い、
惨めな気持ちになる。このとき、ツネ子の
ことが好きだという気持ちに葉蔵は気が付く。

葉蔵がカフェの支払いをしようとする際に、
銅銭3枚しか財布にないことをツネ子に見られる。

ツネ子に「あれ…たったそれだけ?」
と言われ、葉蔵は惨めな気持ちになり、
ツネ子に一緒に死ぬことを提案する。

ツネ子はこの提案を引き受け、
2人は鎌倉の海で、入水自殺をするが、
葉蔵だけが生き残る。

警察から取り調べを受け、
葉蔵の父親の知人であるヒラメに身元を
引き取られることになるのでした。

人間失格【第3の手記】要約

葉蔵は竹一の予言を思い出す。
『女に惚れられる』ことは当たり、
『偉い画家になる』ことは外れたと
記されています。

葉蔵がツネ子の後を追って自殺をしないように、
ヒラメから家の2階に軟禁されます。

しばらくして、葉蔵の父親は、
葉蔵を再び高校に通わせたいと考えます。
葉蔵が真面目に勉強をするという条件付きで、
仕送りを再開することを、ヒラメに伝言をします。

ヒラメがこれからどうするつもりなのか?
と遠まわしに聞くので、
葉蔵は嫌になり、家を飛び出します。

後々の回想では、
真面目に勉強をする条件で
お父さんが仕送りを再開してくれるなら、
葉蔵は再び学校に通うことも考えていた
と記述されています。

雑誌者の記者・シヅ子と出会う

家を飛び出した葉蔵は、堀木の家に向かう。
そこで、雑誌者の記者・シヅ子と出会い、
シヅ子の家に転がり込む。
シヅ子は未亡人で、
5歳になるシゲ子と暮らしている。

シヅ子から葉蔵は、漫画の仕事をもらう。
上司幾多のペンネームで、「セッカチピンチャン」
という漫画を描き、人気が出る。

シゲ子から、本当のお父さんが欲しいと言われ、
父親になる責任を果たすことはできないと
思った葉蔵は、シヅ子のアパートを出る。

煙草屋の娘・ヨシ子と出会う

シヅ子の家の家を出て、行き場所がなくなった
葉蔵は、京橋のバーのマダムのところに
転がり込む。

そんな生活が1年近く続き、
葉蔵は京橋のバーのマダムの向かいの
煙草屋の娘・ヨシ子と親しくなる。

ヨシ子の人を疑うことをしない純粋さを
葉蔵は好きになり、ヨシ子と結婚をする。

2人は、幸せな結婚生活を送りますが、
ある日、人を疑う心を持たないヨシ子が、
家の中に商人を招き入れ、
犯される事件が起きます。

葉蔵は人を疑う心を持たないヨシ子を
好きになりましたが、人を疑わないと
こんな酷い目にあうではないかと、呆然とします。

この事件以降、葉蔵の酒の量はますます増えます。
心身ともにボロボロになった葉蔵は、
ヨシ子が隠していた睡眠薬を見つけ、
自殺を図ります。

「人間失格」と悟る

目が覚めるとヒラメがいました。
死にきれなかったのです。

今度は、酒の代わりに
モルヒネを服用するようになっていました。

少しずつモルヒネを服用する量が増え、
薬の請求額もとてつもない額になります。
葉蔵は死のうと決心した日に、
ヒラメと堀木が現れ、
葉蔵を脳病院の隔離病棟に連れていきます。

葉蔵は、自分は狂っていないと思うものの、
ここに連れてこられたということは
自分が狂人だからと思い、
「人間失格だ」と悟るのでした。

脳病院の隔離病棟で治療を終えた葉蔵は、
青森の田舎で軟禁状態で治療されます。

葉蔵は27歳でしたが、
周りからは40歳以上に見られるぐらい
老け込んでいました。

「いまは自分には、幸福も不幸もありません。
ただ、一さいは過ぎていきます。」
と一つだけの真理に辿り着いたのだった。

人間失格【あとがき】要約

はしがきにも登場した私と、
京橋のバーのマダムのやり取りが描かれています。

私が葉蔵のことを悪く言うと、
マダムは葉蔵のことをかばい、こう続けます。

あの人のお父さんが悪いのですよ。
きょうちゃんは神様みたいないい子でした。

まとめ

精神科医の米倉育男は、太宰治を
「境界性パーソナリティ障碍」
と診断する論文を書いています。
この病気は、他者から拒絶されることを
極端に恐れる病気です。

私は、本書で出てくる第三者目線での記述も
この障碍によるものだと考えています。
太宰は自分が傷つかないように
第三者の人格を作り出し、その人格に
自分の気持ちを代弁してもらおうと考えていた
のではないかと考えています。

堀木との会話で「罪」の対義語の結論が出ないまま
文章が終わっています。
「罰」が対義語だと考える人もいますが、
私の中では、「純粋」「無知」が
一番しっくりときます。

犯罪を行ったら「罪」になり「罰」せられますが、
「純粋」「無知」な子供が何もしらずに犯罪を行えば、
「罪」にはならず、「罰」することが
できないからです。

ヨシ子は「純粋」であるから、
何もしないという商人を信じ、
部屋に招き入れて犯されました。
葉蔵はヨシ子の行動を咎めることはできません。

それは、ヨシ子は自分が乱暴されることが
想像できないぐらいに「純粋」で、
葉蔵が「罰」することが
できなかったからだと考えています。

皆さんの解釈も良ければ
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したっけね~