文学・評論

ノベライズ 花束みたいな恋をした 坂元 裕二 (著)

ノベライズ 花束みたいな恋をした あらすじ

東京・京王線の明大前駅で終電を逃したことから
偶然に出会った大学生の山音麦やまねむぎ(男)と八谷絹はちやきぬ(女)。

好きな音楽や映画がほとんど同じで、
あっという間に恋に落ちた麦と絹は、
大学を卒業して、
フリーターをしながら同棲を始める。

拾った猫に名前をつけて、
渋谷パルコが閉店しても、
スマスマが最終回を迎えても、
日々の現状維持を目標に
2人は就職活動を続けるが──。

ノベライズ 花束みたいな恋をした 見どころ

山音麦と八谷絹の2015年から2020年までの間の
恋愛模様が書かれています。
付き合って2~3年はラブラブ状態ですが、
4~5年経つと、マンネリ化してきます。

恋人が交通事故に遭う、
不治の病に侵されるような、
インパクトのある恋愛ではなく、
どこにでもあるような普通の恋愛が書かれています。

ありきたりの恋愛が書かれているからこそ、
麦と絹に感情移入をして、
読むことができました。

内容は、恋愛経験初心者の私でも
想像ができるほどに、
わかりやすいものでした。

次に、山音麦と八谷絹が出会った、
2015年から2020年までの間に、
どんな出来事があったのかまとめます。

2015年

2015年の主な出来事

  • 山音麦と八谷絹が、
    終電を逃したことで出会う。
  • 麦と絹は映画、好きな作家、演劇、
    お笑いライブの話で、意気投合する。
  • 3回デートをしてから、
    麦がファミレスで告白をし、
    絹と付き合う。
  • 京王線調布駅から徒歩30分、
    多摩川の見える部屋。
    そこで、麦と絹は同棲する。

終電を逃したその夜に意気投合した二人は、
趣味・思考がビックリとするぐらい同じでした。

告白のシーンで、
お互いが画面越しに告白をしている描写がありました。

私はそのシーンから、
相手のことを自分のフィルター(思い込み)を通して、
見ているのではないかと思いました。

なので、2人は息が合うように、
自分自身に言い聞かせている節が、
どこかにあるのだと思っています。

「八谷さん」
麦は画面の絹に向かって呼びかけた。
「はい」
絹は画面の麦に向かって答えた。
「僕と付き合ってくれませんか」
麦は画面の絹に告白した。
「はい。ぜひ」

付き合ってからの2人は半同棲状態です。
絹は3日続けて、麦の部屋に泊まります。
お互いに相手のことが、
大~好きです!

絹は就活が上手くいかず、落ち込みます。
麦は絹に、やりたくない就活を無理にする必要は
ないと諭します。
絹は「家に帰ると親から就活をする
ように口うるさく言われる」ことを、
麦に伝えると、絹は麦から、
一緒に住むことを提案されます。

2人は、京王線調布駅から徒歩30分、
多摩川の見える部屋。に同棲することになります。

クリスマスには、お互いに、
ブルートゥース・イヤホンを送り合いました。

大晦日には、実家には帰らずに、
2人でそばを食べて年を越しました。

初詣に向かう途中で、
捨て猫を拾います。

2016年

2016年の主な出来事

  • 拾った猫に「バロン」と名付ける
  • 大学卒業後2人はフリーターになる
  • 絹は簿記2級の資格を取得し、都心の
    歯科クリニックに経理担当として
    就職が決まる。

2016年、麦と絹が年の始めに最初にしたことは、
猫に「バロン」と名前を付けることでした。

麦はイラストの仕事をしますが、
ワンカット1000円のところを、
3カット1000円に値切られ、
小銭しか稼げません。

麦は2人の将来のために、
就活をします。

絹が歯科クリニックに就職が決まった後も、
麦の就職先は決まらないままでした。

2017年

2017年の主な出来事

  • 麦がネット通販専門の新しい物流会社に就職が決まる
  • 麦の仕事が忙しいせいで、
    絹とのコミュニケーションが雑になり、
    2人の気持ちにすれ違いがおきる。

麦が物流会社に就職をすることが決まりました。
絹もそのことに喜びました。

麦の仕事が始まると、
5時には帰れると言われていたのに、
帰りが8時を過ぎることもしばしばありました。

仕事をしながら、
イラストを描くと言っていた麦ですが、
仕事が忙しくてイラストを描く暇がありません。

仕事に没頭する麦と、
学生のときのように、
趣味に時間を使いたいと思っている絹、
との間に少しずつ溝が出来始めます。

(よくわからない。
3ヶ月セックスしてない恋人に
結婚の話を持ち出すってどういう感じだろう)←絹の心情
(よくわからない。
いつまで学生気分でいるんだろ。
ずっと2人でいたいと思ってないのかな)←麦の心情

2018年

2018年の主な出来事

  • 絹と麦の会話は減り、
    互いに一人暮らしみたいに
    勝手に振る舞っている
  • 麦は仕事に疲れ、
    以前のように麦と趣味を楽しむことが
    精神的にできなくなる

麦は、絹とずっと
一緒にいるために就職をしました。
しかし、麦の仕事が忙しいことが原因で、
2人の関係はギクシャクしたものになります。

麦は絹がイベント会社に転職することに対して、
鼻で笑い、「遊びじゃん」「ダサ」と批判し、
「仕事は遊びじゃないよ。そんないい加減な
とこ入って、上手くいかなかったらどうするの?」
と説教じみたことを言います。
絹は麦に不信感を抱きます。

2人は別れることも視野に入れ出します。

2019年

2019年の主な出来事

  • 麦と絹が別れる

友人の結婚式の帰りに、
2人は、4年前に麦が絹に告白をした
思い出のファミレスに向かいます。

別れようと思っていた絹でしたが、
麦に絹に対しては恋愛感情はないけれど、
家族としてなら上手くいくと力説されます。

絹は麦と結婚したら、
上手くいくかもしれないと思い始めます。

4年前に麦と絹が座っていた席に
カップルが楽しそうに
話をしているのを、2人は聞きます。

昔の楽しかった日の思い出を
麦と絹は思い出します。
堪らなくなった絹は席を離れます。

麦は絹を追いかけ、2人で泣きました。
麦と絹は、別れることになりました。

お互いの気持ちが、
4年前にファミレスで話をしていたときと、
今とでは、異なっていることに気づき、
2人とも悲しくなったのだと思います。

2020年

2020年の主な出来事

  • 麦と絹はカフェで偶然再会する

麦と絹はカフェは偶然再会を果たします。
お互いに恋人がいたため、
会話をすることなく別れました。

その夜、麦と絹は家に帰り、
偶然の再開に思いを馳せます。

(今日、元カレにばったり会った。
多分あれはわたしがあげたイヤホン。
2人でSMAPのたいせつ聴いたな。
SMAPが解散しなあったら、わたしたちも
別れなかったかな、なんて馬鹿なこと思った)←絹の考え

(今日、元カノにばったり会った。
きのこ帝国が活動休止したこと、
粋な夜電波が終わったこと、今村夏子が
芥川賞を取ったこと、どう思ったかな。
多摩川の氾濫の時、ニュース見て何思ったかな)

麦は、絹と二人で行ったパン屋のことを
思い出し、Googleのストリートビューで、
付近を探索しました。

ストリートビューの画面に、
顔にボカシが入っているが、
麦と絹の顔が映り込んでいました。

ボカシで見えないが、きっと笑顔だ。

ノベライズ 花束みたいな恋をした まとめ

絹とずっと一緒にいたいから、
麦はアルバイトを辞め、
物流会社の正社員になりました。

しかし、絹との将来のことを、
考えて始めた仕事が原因で、
絹との仲が悪くなったので、
読んでいて辛い気持ちになりました。

「花束みたいな恋をした」とタイトルにあります。
私は、花=恋だと解釈しています。

花は咲いた瞬間は綺麗ですが、
咲いたら絶対に散ります。
恋も、キラキラとした時期を経験したら、
必ずマンネリ化する時期もやってきます。

花ではなく花束なので、
色んな綺麗な思い出が2人の中に
あるのだろうと思います。

私は桜が好きです。
散ってしまうと悲しいですが、
桜が満開に咲いている瞬間が、
思い出として、自分の記憶に残ります。

エピローグにもある通り、
麦と絹は、偶然カフェで再開を果たします。
2人は、昔の楽しかった日々を思い出して
幸せな気分になったのではないでしょうか。

2人は別れてしまいましたが、
幸せだった日々を思い出すことができたので、
ハッピーエンドだと思います。

映画も上映されているので、
観に行ってきます(`・ω・´)ゞ

したっけね~☆彡